「精霊に捕まって倒れる」

青木陵子、qp、工藤麻紀子
23/11/25[土]-23/12/24[日]
@ タリオンギャラリー
企画運営:タリオンギャラリー   エキシビション

タリオンギャラリーでは、qpとの共同企画による展覧会「精霊に捕まって倒れる」を開催いたします。是非ともご覧下さいますよう、よろしくお願い申し上げます。

本展覧会名は、装丁にqpの絵が用いられた同タイトルのノンフィクション (アン・ファディマン著、忠平美幸ほか訳『精霊に捕まって倒れる』) に由来します。原著では、難民としてラオスからアメリカに移り住んだモン族の一家の少女がてんかんを患い、その治療過程でのモン族の両親とアメリカの医療従事者との間における、文化や世界観の衝突や葛藤が描かれています。

「精霊に捕まって倒れる」とは、てんかんの発症を指すモン族の言葉であり、彼らにとってその発作は、他者には見えないものを感じとる力がある証拠であるとともに、見えない世界に旅立つための必要条件とも考えられています。西洋文明にとっては治癒すべき対象である症状は天からの贈り物でもあり、ただ苦しく辛いものではなく、かけがえのない恩寵でもあるとされます。

身近な生命の素描と流動的な線や色面をつなぎ合わせ、ドローイングや立体、インスタレーションを制作する青木陵子は、日常生活と隣り合いながら見過ごされがちな、ものをつくるという営みの中にある記憶や観念を作品のなかに展開しています。イラストレーションを含めた装飾美術、写真、アニメーションなど多様な活動を展開してきたqpは、近年は小さな紙面にスポイトなどを用いて水彩絵具のしずくを落とし、具象的なモチーフや幾何的なユニットの構成からなる絵画に取り組んでいます。そして、鮮やかな色彩と構成、朴訥かつ緻密な筆致によって、生活の場所や記憶と突飛なイマジネーションが一体となった絵画を描く工藤麻紀子は、多様な構図と視点からなる風景と人物が、ひとつの情感のなかに共振するような夢想的な光景を描き出します。本展では、人々にとっての恩寵とはなにか、痛みを受けたものが放つ光や、医術のとなりにある美術についても焦点が当てられます。どうぞご期待ください。

会 場
タリオンギャラリー   > HP
住 所
豊島区目白2-2-1 B1F
電 話
03-5927-9858
OPEN
11:00-19:00
月火祝休廊